(この記事の最終更新日は、2020年7月21日です。)
電気柵用のオフグリッドソーラー装置の開発 22回目の記事だよ!
今回は、バッテリーボックスの温度対策の実験の模様をお届けするね!
電池式の電気柵を、ソーラータイプにグレードアップする、電気柵用ソーラーバッテリー。超小型オフグリッドソーラの開発記録も22回目になりました。
今回は、電気柵用オフグリッドソーラーの、バッテリーボックスの温度についてです。
電気柵用オフグリッドソーラーは、バッテリーや、充放電コントローラを収めたバッテリーボックス(アイリスオーヤマ ボックス RVBOX バケツ RV-15B カーキ/ブラック 幅34×奥行31.5×高さ27.5cm)と、12Wのソーラーパネルで構成されています。
今日の問題は、バッテリーボックス内部の温度です。
バッテリーボックスに入っている鉛バッテリーは、高温にあまり強くありません。
カタログを見ると、充電は+40℃まで。放電は+50℃までとなっています。
充電の+40℃という制限は正直苦しい。
外気温が40℃近くになる所もありますからね。。
ただ、出来るだけバッテリーボックス内部の温度を低く保つことが、鉛バッテリーや、コントローラの寿命を延ばすというのも事実。
出来る範囲で、バッテリーボックス内部の温度を低く保つ工夫が必要なんだね。
工夫1 :ソーラーパネルを日傘代わりに
電気柵用オフグリッドソーラーは、あえて、ソーラーパネルを、バッテリーボックスの上に固定しています。
発電量を重視するならば、ソーラーパネルを別にして、高い杭の上などに設置したほうが、発電量が多くなります。(日当たりがよくなるので。。)
しかし、バッテリーボックスの上にソーラーパネルを固定する事で、最も日射の強くなる、夏の昼間にソーラーパネルがバッテリーボックスの日傘代わりになるというメリットがあります。
さらに、ソーラーパネルとバッテリーボックスが一体化したので、持ち運びが便利というメリットもあります。
この状態での温度測定
ソーラーパネルの日傘効果を期待した状態での温度測定を過去に行いました。電気柵用オフグリッドソーラーを作ろう!16回目 1号機実地試験24時間後の結果
この結果を見ると、バッテリーボックス内の最高温度は、外気温+8℃でした。特筆すべきは2点
・ソーラーパネルを日傘代わりにした効果は「あり」もっとも暑くなる時間帯に、バッテリーボックス内の温度上昇が抑えられている。
・早朝、夕方のバッテリーボックス内の温度が想定よりも高い。
ソーラーパネルの日傘効果は、太陽が高い時間帯は効果を発揮するのですが、朝方や夕方の太陽の低い時間帯には効果がありません。
バッテリーボックスの側面に直接太陽光が当たる事で、バッテリー内部温度が上がっていると推定しました。
今回は・・・本当にバッテリーボックスの側面に太陽光が当たる事によってバッテリーボックス内の温度が上昇しているのか?という検証を行いました。
バッテリーボックスを白く塗装したものと無塗装のもので内部温度がどの程度変わるか調べてみた。
バッテリーボックスの左右に日よけ板を付けるのは難しいので、塗装でなんとかならないかと考えました。
なるべく光を反射させる色を塗れば、バッテリーボックス側面の温度上昇が抑えられるという読みです。
一番、光を反射させる色は、、そう「白」ですね!
厳密に言うと、白色が反射しているのは、可視光だけで、赤外線や紫外線をどの程度反射しているかはよくわかりませんでした。
ただ、可視光を反射出来るのだから、赤外線もある程度は反射出来るはず!という考えで、バッテリーボックスを白く塗ってしまいました。
試験した環境
試験は、2つの電気柵用ソーラーを、なるべく日当たりの良い場所に設置して行いました。見ての通り片方のバッテリーボックスは白く塗装されています。
この環境で丸一日、温度計測を行いました。温度の計測に使ったのは、お馴染みのこちら
Elitech RC-5 USB温度データーロガー 温度記録計 データレコーダー 32000ポイント 簡単に温度を記録し、解析できるデータロガー ブルー
実売価格2000円くらいの超安価な温度ロガーです。温度ロガーとしては破格なのですが、温度計の精度はなかなかの物。
今回は2つの温度ロガーを同時に使ったのですが、両者の温度計の誤差は、0.3℃くらいでした。
温度測定の結果
この日の天候は、曇り時々晴れ。試験環境としては微妙ですが、最近、不安定な天気が続いていて、なかなか一日晴れ!という日がありません。
2017年7月28日は、そんな中の貴重な晴れ間。
さて、グラフを見ていきましょう。
青線は、アメダスの値(静岡市のデータなのでちょっと離れていますが。。) オレンジ線が白塗装のバッテリーボックス。灰色線が無塗装のバッテリーボックスです。
結果は一目瞭然。日が昇る6:00位から、両者の温度差が開き始めます。
無塗装のボックスはAM10:00には、40℃を超えていますが、白塗装のボックスは、AM10:00に38℃とかなり差がついているのが分かります。
ただ、外気温と比べると、どちらもかなり温度が上がってしまっていますね。。
白塗装は、「効果あり」という事が分かりました。
無塗装との差は4℃程度あります。この差は大きいですね!
今後、バッテリーボックスを白くする方向で進めたいと思います。
でも、ちょっと問題
今使っているバッテリーボックスの材質はPP (ポリプロピレン)なんです。
この素材は、塗料が定着しにくい事で有名な素材。
今回はプラスチック用塗料を使用しましたが、やっぱりだめでした。
塗れるのですが、ぺりぺりと剥がれてしまうのです。これは、困ったことになりました。。。
今は、カッティングシートを張り付ける方向で検討中です。
お知らせ
このブログでは、電気柵用オフグリッドソーラーの組み立て方法を出来るだけ細かく記事にしてきました。(こちらの記事から順番によんで頂けると嬉しいです。)しかし、電気の事に詳しくないとなかなか難しい!という農家さんの声が多数聞こえてきました。確かに、農業と電気機器というのは、全く接点がありませんよね。
趣味で電気工作をやっているよ!という方ならば自作出来るかもしれませんが、過去記事を読んでも全くわからん!という方のほうが多そうです。
そこで、
この電気柵用オフグリッドソーラー(電気柵用ソーラーバッテリーユニット)の組み立て、販売を静岡県藤枝市の安曇野電子が行う事にしました。制作にはかなりの手間がかかりますので、無償ではありませんが、出来るだけ農家さんの事を考え、組み立て費を安くしようとしています。しばらくは直接設置についてご相談できる距離(静岡県中部地方)の農家さん限定ですが。。
※ 電気柵用ソーラーバッテリーユニット設置相談対象地域詳細:静岡県静岡市,静岡県焼津市,静岡県藤枝市,静岡県島田市,静岡県牧之原市,静岡県榛原郡吉田町,静岡県榛原郡川根本町,静岡県掛川市,静岡県菊川市,静岡県御前崎市
電気柵用電源でお困りの方、電気柵の電源のソーラー化にご興味のある方は、安曇野電子ホームページの「問い合わせ」フォームから、お気軽にご連絡ください。
以上、今回は、プラスチックボックスの温度上昇を抑えるために、白く塗装したら効果があるか?という内容の記事でした。
最後まで及びいただきありがとうございました。
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