(この記事の最終更新日は、2020年5月13日です。)
こんにちは!山猫おソーラーの備えるブログ 管理人の山猫です。(@yamaneko_solar)
この記事は「災害時に役に立つ移動式のオフグリッドソーラー(独立型太陽光発電装置)を作ろう!」の9回目です。(前回の記事はこちら!)
今回は、オフグリッドソーラーシステムの要、チャージコントローラだよ!
オフグリッドソーラーの心臓部 チャージコントローラ
今回は、オフグリッドソーラーの心臓部、チャージコントローラについて書いていきたいと思います。
まずは、その8で出した、オフグリッドソーラーの接続図を改めてみてみます。
チャージコントローラは、画面上の黒っぽい物体ですね。(別にチャージコントローラが全部この色というわけではなく、今回選んだのが黒っぽかっただけですが。。)
チャージコントローラには、「ソーラーパネル」「バッテリー」「ユーザーが使用する電気機器」が繋がっています。
チャージコントローラの役割とはいったいなんでしょうか?
もしチャージコントローラを無くして、ソーラーパネルと鉛バッテリーを直結したら何が起こるのでしょうか?
(※ ユーザーが使用する電気機器の種類によっては、接続方法を変える必要があるのですが、その件はまた今度!)
バッテリーは電気を貯められるバケツ チャージコントローラはバケツに電気を流し込む蛇口
バッテリーは電気を貯めることの出来るバケツのようなものです。
ソーラーパネルで発電した電気を、バッテリーというバケツに流し込んでいるイメージですね。
普通のバケツに一杯まで、水道から水を入れていくシーンを想像してください。
空のバケツに水を入れていくときは、最初は勢いよく水を出していき、バケツに水が溜まっていったら少しづつ水道の蛇口を締めていって、最後はちょびちょび水をいれて一杯にするという事をしますよね?
水を出しっぱなしにすればバケツは溢れてしまいます。
実はバッテリーも同じようなものなのです。
一杯まで充電されたバッテリーにさらに電気を流し込もうとすると、バッテリーが痛みます。
最悪 破裂する事も・・・
最近でもたまにスマホやパソコンのバッテリー(リチウムバッテリー)が破裂した!というニュースが流れますよね!
リチウムバッテリーは、鉛バッテリーに比べ充電の制御が難しく、充電回路のちょっとしたミスで、電池が膨らんでしまったり、破裂したりしてしまう難しい電池です。
鉛バッテリーは、リチウムバッテリーに比べれば、ある意味鈍感な電池なので、比較的扱いやすいのですが、取り扱いを間違えればやっぱり危険なのです。
チャージコントローラとは簡単に言うと、バッテリーにどれくらい電気が溜まっているかを判断して、充電の電圧、電流をコントロールしてくれる機械なのです。
このチャージコントローラの働きで、安心してオフグリッドソーラーを使う事ができるというわけです。
チャージコントローラの役割まとめ
過充電(充電しすぎ)を防ぐ
鉛バッテリーを充電する際の電圧には上限があります。
メーカーや電池の種類により異なるのですが、だいたい、14.5V~15V程度。
一方ソーラーパネルの出力電圧は最大で18Vくらいでしたね。
もしバッテリーにソーラーパネルを直結すると、充電が進むにしたがって電圧が上がってしまい、バッテリーを壊してしまいます。
チャージコントローラは、バッテリーの電気の溜まり具合を判断して、バッテリーに掛ける電圧、流し込む電流量をコントロールしているのです。
一般的なチャージコントローラではソーラーパネルからバッテリーへの充電をバッテリーの電気の溜まり具合によって、3つのステージに分けて管理しています。
(1) バルク充電
バッテリーに空きがある状態です。どんどん(上限はありますが。)電気をバッテリーに流し込みます。
ソーラーパネルが発電した電気をなるべくロスなくバッテリーに流し込んでいる状態です。
バルク充電を続けると、少しずつバッテリーの電圧が上がっていきます。
チャージコントローラはバッテリーの電圧を監視して、バッテリーの空き容量を推測します。
充電電圧が、14.5V~15Vに達すると、バルク充電は終了し、アブソーブ充電に変わります。
(2) アブソーブ充電
バッテリーは、一杯に近くなっていますが、まだ少し空きがある状態です。
バッテリーは最大電圧に達しているので、ここからは、充電電流を絞って、少しずつ電気をバッテリーに流し込んでいきます。
アブソーブ充電が終わるころには、小さな充電電流でも最大電圧をキープできるようになります。この状態が満充電の状態です。
満充電になると、フローティング充電に変わります。
(3) フローティング充電
フロート充電は、自然放電(バッテリーは保管しておくだけで少しずつ電気が減っていきます。普通の乾電池でも自然放電はあります。しまっておいた古い電池をいざ使おうとしたら、使えなかったという事がありますよね)を抑えるために、減った分を補う充電を行います。
充電電流はごくわずかです。また、充電電圧は、最大電圧よりも低い電圧(13.5V~13.8V)です。
負荷(電気製品)がつながり、バッテリー内の電気が消費され空きが出来た場合、(1)のバルク充電に移行します。
チャージコントローラは、この3つのステージを行ったり来たりしながら、バッテリーを充電しているのです。
ソーラーパネルへの逆流を防止する。
チャージコントローラには別の役割もあります。
昼間晴れていれば、ソーラーパネルが発電した電気はバッテリーに流れ込みますが、これは、ソーラーパネルの発電で発生した電圧がバッテリーの電圧よりも高いためです。
夜間はソーラーパネルは発電しませんので、今度はバッテリーからソーラーパネルに電気が流れ込んでしまいます。
チャージコントローラは、この電気の逆流を防止し、バッテリーからソーラーパネルへ電気が流れないようにする機能があります。
過放電を防止する。
バッテリーに溜まっている電気を、どんどん使っていくとやがてバッテリーが空になってしまいます。以前の記事でも説明しましたが、いくら、過放電につよいディープサイクルバッテリーと言っても、バッテリーを空にしてしまうと、寿命が短くなってしまいます。
バッテリーは高価な物ですし、捨てるのも大変なので、出来るだけ長く使いたいもの。
チャージコントローラは、バッテリーの残量を監視して、だいぶ電気が減ってしまったな!と思うと、繋げている負荷(電気製品)への電気の供給を止める機能があります。(すべてのチャージコントローラにこの機能があるわけではありませんのでご注意を!)
この、過放電防止の制御は、いろいろ意見が分かれる所なので、次回もう少し詳しく説明したいと思います。
PMT方式とMPPT方式
チャージコントローラのカタログを見ると、PMTとかMPPTと書かれているのを見たことがある方が多いと思います。この両者の違いはなんでしょうか?
内容を細かく話すと難しい話なので、ざっくりと説明します。実は、ソーラーパネルで発電した電気は、そっくりそのままバッテリーに蓄えられるわけではないのです。
チャージコントローラを通す事で、発電した電気の一部は使われずに消えてしまいます。
当然、チャージコントローラでのロスは少ない方がいいですよね。
ロスが少ないチャージコンロローラは「充電効率が良い」と言ったりします。
MPPTとかPWMというのは、ソーラーパネルが発電した電気をバッテリーに流す制御方法の違いなんです。
MPPTはPWMよりも複雑な制御をしていて、一般的にMPPTの方がPWMよりも充電の効率は良い。
でもPWM方式が特別悪いわけではなく、PWM方式でも十分実用になる性能です。
当然価格は、MPPT方式 > PMT方式 になります。
オフグリッドソーラーに何を求めるかで、PMTとMPPTどちらを選ぶか変わってきますが、山猫が作ろうとしている小さなシステムでは、PMT方式で十分だと考えています。
次回は、チャージコントローラの使い方の続きと、どのチャージコントローラを選んだらいいの?という記事をアップ予定です。
お楽しみに!
~続きの記事へ~
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