(この記事の最終更新日は、2020年6月18日です。)
緊急連載として始まった、電気柵用オフグリッドソーラーを作ろう!ですが、早くも連載14回目になりました。今までの記事のまとめはこちら。
今回は試験運転の様子をレポートするね!
今の所順調に稼働しているみたい!
→(2019年7月7日追記)着実に、可動実績を積み上げています。各地の畑で電気柵用電源として使用されていますが、今のところ目立ったトラブルは起きていません!
そもそも何を作ったんだっけ?
農家を苦しめる、猪などの動物の被害。
せっかく作った農作物が一晩で食い荒らされてしまっては、農業を続けることはできません。
そこで登場したのが電気柵。畑の周りに高圧電線を這わせて、猪などの野生動物が畑に侵入するのを防ぎます。
高圧電線といっても、動物を殺すという目的ではなく、一瞬電気が流れて、動物をびっくりさせて近寄らせなくするという機械ですね。
最近は、野生動物の生息域が変わって里まで下りてきてしまうようになりました。。。
野生動物の食害から畑を守るために、畑という畑を電気柵で囲むという光景も珍しくなくなりました。
電気柵の機械(高圧を発生する機械)は、直流の12Vで動く機械と、家庭用の交流100Vで動く機械があります。
畑が、住宅の近くにあって交流電源が取れるのなら、交流式の機械を使うのもよいと思いますが、、畑が住宅から離れている場合は、直流12Vで動く機械を使わなくてはいけません。
直流12Vで動く機械の電源は何を使うのでしょうか?
基本は、乾電池です。
単一型の乾電池を8本直列につなぐ機械や、乾電池を束ねた専用のボックスを使う機械などさまざまです。
また、自動車用バッテリーも12Vなので、自動車用の廃バッテリーを接続できるようになっている機種も多くあります。
乾電池にしても自動車用バッテリーにしても少しずつ電気がなくなっていく。
当たり前の事ですが、乾電池もバッテリーも使えば使うほど、電池内の電気は減っていきます。
大概の電気柵の機械では、24時間フルに運用した場合は、約1ヵ月しか電池は持ちません。
バッテリーの場合は、バッテリーの大きさに依存しますが、電気が減ってきたら、一旦バッテリーを取り外して、充電しなければいけません。
電池は結構高いです。タイガーという有名な電気柵メーカーが出している電池ボックスは、通販で安く買っても1個4000円くらいするようです!
この電池を買ってきても、一か月でなくなってしまうので困ったものです。
電気柵の機械も一つとは限りません。
2個3個と使っている場合は、かなりの金額を使っている事になります。
廃バッテリーを使う場合は、交換毎にコストはかかりませんが、その代わり充電するために母屋に運ぶ→充電後また電気柵のあるところまで運ぶという手間がかかります。
バッテリーは結構重いので、運ぶだけでも一苦労ですよね。。
もう一つの問題は、乾電池や自動車用バッテリーは、使用しているうちに電圧が少しずつ落ちていってしまう点。
いつの間にか電気柵のパワーが落ちて、効果が薄くなってしまうという問題もあります。
そこで、ソーラー発電とバッテリーを組み合わせて、バッテリーを常に充電し続けるという考え方が出てきました。
バッテリーも、毎日ソーラーパネルが充電してくれる事を考えればそれほど大きな物を準備する必要もありません。
もちろん、雨の日や夜間はソーラーパネルは発電しないので、ソーラーパネルが働いていなくても、しばらくの間は電気柵を動作させられるだけのバッテリーは内蔵しなければなりません。
しかし、ひと月雨が続く事はないと考えてよいと思います。
(そこまでの天変地異があったらそれはまた別の問題が出てきます。)例えば、一週間はソーラーパネルの発電がなくても問題ない。
というレベルのバッテリーを準備しておけば大丈夫だと考えられます。
バッテリーは毎日充電しても大丈夫なの?
携帯電話などのバッテリーは、ずっと充電器に挿しっぱなしだと、早くバッテリーがダメになってしまう。
と感じている方も多いと思います。ソーラーと鉛バッテリーの組み合わせは大丈夫なのでしょうか?→ 実は大丈夫なのです。
鉛バッテリーは満充電に近い状態が続いた方が長持ちします。(全く使わないで充電し続けるのは良くないようですが。。)電気柵のように、夜間や雨の日に少し減って、晴天時に充電するという使い方は、鉛バッテリーにとってはありがたい使い方です。
逆に、鉛バッテリーは、電気が空になるまで使い切るのは苦手で、一旦電池を空にしてしまうと寿命がガクッと落ちます。
鉛バッテリーにとっても、ソーラーで毎日充電してくれるという使い方はありがたいという事が言えます。
こんな物を作りました。
鉛バッテリー、ソーラーパネル、充放電コントローラを一つのパッケージにしました。
ソーラーパネルとバッテリーを入れた箱(バッテリーボックス)は一体となっているので、持ち運びも簡単です。
バッテリーなどの電気部品は、防水性に優れた箱に収められているので、普段の雨ならば、特に気にする必要もありません。(水没するとさすがに壊れてしまうので、台風の時や豪雨が続く時は、納屋にしまう必要があるのですが、これは電気柵の本体も同じことです。)
ソーラーパネルは、余裕の12W品。
電気柵の消費電力を考えれば、5W程度のパネルでも大丈夫な事が多いのですが、一体型とした事で、日当たりが多少悪くなる場合がある。
曇りや雨天でもある程度発電してくれる。という特徴があります。
電気柵用オフグリッドソーラー(ソーラーバッテリー)を使うメリット
・電池交換やバッテリーの充電という作業から解放されます。: 加えて電池交換でかかっていたコストが、かからなくなります。
もちろん、ソーラーバッテリー装置も寿命が来ると使えなくなります。しかし、一般的な使い方であれば、ソーラーバッテリーの寿命は3年~5年。
電池交換でかかっていたコストよりもはるかに安い金額で、しかも、一旦設置したら特にメンテナンスは必要ありません。
電気柵用オフグリッドソーラー 製作費用
今回の試作品の製作にかかった費用(部品代)です。
品名 | 価格 |
太陽電池(12W) | ¥2,500 |
バッテリー | ¥2,100 |
チャージコントローラ | ¥4,000 |
電圧計測BOX部品 | ¥1,600 |
バッテリー容器 | ¥1,300 |
電線取り入れ口 | ¥550 |
フレーム用木材 | ¥500 |
ソーラーフレーム | ¥1,500 |
その他備品 | ¥800 |
合計 | ¥14,850 |
部品代で合計約15,000円でした。自作すれば、この金額で電気柵用オフグリッドソーラーを作る事が出来ます。
インターネットを見ると、ソーラーパネル、バッテリー、充放電コントローラのセットがもっと安い価格で売られています。今回、作った装置は、充放電コントローラにお金をかけています。
中国製の安いコントローラは1000円を切る物もありますが、今回コントローラは日本製の性能の良い物を使用しています。
コントローラにこだわったのは、この部品が一番トラブルが多いからです。
電気柵用電源の故障は、農作物の被害と直結しますので、ここで数千円安くするよりも、出来るだけ信頼性の高い部品を使おうと考えました。
電気柵用電源に専用の乾電池パックを使用していた場合、月々4000円くらいの電池代がかかります。一方、ソーラーバッテリーの制作費用は自作の場合、15000円くらいですので、
4ヵ月使用すれば元が取れる計算になります。電池交換の手間もなく、コストも安くなります!
ソーラー付きの電気柵も売られているけれど。
タイガーなど大手の電気柵メーカーでは、ソーラー付きの電気柵本体が売られています。
これを購入できるのならばそれはそれで良いと思います。
全部一体型になりますので、設置も簡単です。
ただ、ソーラー付きの電気柵は、電池式の電気柵にくらべてかなり割高です(下記機種の場合、[ソーラーあり]と[ソーラー無し]の価格差は4万円くらいあります。)いままで電池式を使っていた場合、それを捨ててソーラー式を購入するのも大変ですよね。
電池式電気柵の例
ソーラー式電気柵の例
ソーラーが付くだけで販売価格が4万円くらい上がっていますね。
今回山猫が作った、ソーラーバッテリーは、今まで使っていた電池式の電気柵を、ソーラー式に変える機械という事になります。
自作は大変だし、そんな技術もない。。
このブログで、出来るだけ細かく作り方の解説をしましたが、結構手間もかかっていますし、工具もいろいろ使っています。(あまり農家さんが持っていそうな工具ではありませんよね)
そこで、この電気柵用オフグリッドソーラーの組み立て代行を静岡県藤枝市の安曇野電子が行う事にしました。
制作にはかなりの手間がかかりますので、無償ではありませんが、
出来るだけ農家さんの事を考え、組み立て費を安くしようとしています。
しばらくは直接設置についてご相談できる距離(静岡県中部地方)の農家さん限定ですが。。
※ 電気柵用ソーラーバッテリー設置相談対象地域詳細:静岡県静岡市,静岡県焼津市,静岡県藤枝市,静岡県島田市,静岡県牧之原市,静岡県榛原郡吉田町,静岡県榛原郡川根本町,静岡県掛川市,静岡県菊川市,静岡県御前崎市
ご興味のある方は、安曇野電子ホームページの「問い合わせ」フォームから、お気軽にご連絡ください。
以上、本日は、電気柵用オフグリッドソーラーを使用するメリットについての記事でした。
次回をお楽しみに!
~続きの記事~
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