地震などの災害時に、避難所でもなく、自宅でもなく、自家用車に寝泊まりする。それが車中泊ですね。災害時、多くの人が車中泊を選択しています。
でも、災害が起こると必ず話題になるのが、「エコノミークラス症候群」と呼ばれる病気。エコノミークラスとは、もともとは、航空機の座席の事ですね。
エコノミークラスというのは、航空機の座席の中では最も安価な席。つまり、安い分、シート間隔が狭くて、身動きが取りにくいシートの事なんです。
では、エコノミークラス症候群とはどんな病気なのでしょうか?
正式な病名は静脈血栓塞栓症と言います。肺を含む静脈に血の塊、つまり血栓が出来ることで肺の血管がふさがれてしまうという病気です。
肺の血管がふさがれてしまうのはかなりヤバい状況です。上手く対応できなければ死に至る怖い病気なんですね!
実際、2004年の新潟県中越地震では、14人が静脈血栓塞栓症で搬送され、7人が亡くなっているようです。
エコノミークラス症候群になる原因は?
エコノミークラス症候群は、ふくろはぎにあるヒラメ筋からはじまるそうです。(山猫は調べるまで知りませんでした。)
このヒラメ筋の中にある静脈は、ヒラメ筋静脈と呼ばれ膨らみやすく出来ています。このヒラメ筋静脈は歩く事で、血液を心臓に送り返す重要な役割を担っているのです。
長時間、足を動かさないでいると・・・
座った状態で長時間足を動かさないでいると、血液が重力で、足に降りてきて、ヒラメ筋静脈のあたりでよどんで溜まってしまいます。さらに、水分の摂取量が少ないと、よどんだ血が固まってヒラメ筋静脈に血栓ができます。さらにほっておくと、血栓がどんどん成長して、骨盤内にまで達するとちぎれて飛散します。飛散した血栓が心臓を通過して肺動脈を詰まらせます。これが肺塞栓症です。
こうして、肺の血管が血栓でふさがれてしまうと、エコノミークラス症候群になってしまうわけです。
もともとエコノミークラス症候群は、狭い飛行機の座席に長時間座る事で起こった病気です。では、災害時の避難時にエコノミー症候群に気を付けなければ!というのはなぜなのでしょうか?
災害時の車中泊は、エコノミークラス症候群になる条件をこれでもか!というぐらい満たしている。
※ ここで、紹介する車中泊というのは、特に事前の準備なく、ふつうの乗用車の座席で寝泊まりするという場合を示しています。
自動車の座席(運転席 or 助手席)をリクライニングさせて寝るという場合を考えてみましょう。
この場合、足は曲がって、胴体よりも下の方にある状態です。しかも、自動車のシート(特に運転席と助手席)は体をサポートするため端が盛り上がっているため、寝返りを打つもの難しい状態。。つまり、エコノミークラス症候群を起こす条件
(1) ヒラメ筋静脈の流れが悪くなる:足を曲げたまま寝返りを打ちにくい条件が続くと、ヒラメ筋静脈ないの血液がどんどんよどんで血栓ができやすい状態に。しかも足が胴体よりも下にあるので、重力のちからで、血液が足に降りてきやすい状態に。。
(2) 血液が固まりやすくなる:災害時は水が超貴重品。どうしても水分の補給が少なくなりがち。。水分補給が足りなくて脱水になってしまうと、血が固まりやすくなり、結果として血栓ができやすくなるのですね!
つまり、足を下にしてしかも身動きがとりずらい、さらに、水分補給も少な目になってしまう避難時の車中泊は、エコノミークラス症候群になりやすいのです。
但し、車中泊で無くても、エコノミークラス症候群になる可能性はある。
では、車中泊でなければ、エコノミー症候群になる心配はないのか?といえばそんな事はありません。避難所でも、する事がなくて、ずっと同じ姿勢で座ったり寝ていたりという場合は、車中泊と同じ条件を満たしているとも言えますし、実際に避難所にいた方でエコノミークラス症候群になった方もいます。
車中泊じゃないから絶対大丈夫!とは言えないので注意が必要!です。
エコノミークラス症候群を防ぐためには
エコノミークラス症候群を完全に防ぐのは難しいのですが、個人で対策出来る事もあります。
それは、
・ふくろはぎの静脈血流を良くするために数時間毎に歩く。
・ふくらはぎをマッサージする、血流を良くする弾性ストッキングを履く。
・水分をなるべく補給して、血液が濃くならないようにする。
・車中泊をする場合は、なるべく足を上に挙げて、ふくろはぎのヒラメ筋静脈によどみを作らないようにする。
エコノミークラス症候群を防ぐためには、とにかく血流を良くして、脱水に気を付けて血栓が作られにくいように注意する事が重要なんですね!
車中泊のメリット
いろいろ問題がありそうな車中泊。でも、地震などの災害が起こった場合、車中泊を選択する人がとても多いのも事実なんです。
その理由はいくつかあるのですが。。
・プライバシーが確保できる。・・・これは大きなメリット。避難所の暮らしはプライバシーがほとんどない状態。自動車は、箱になっていますし、ドアを閉めれば、かなり自由な空間になります。
普段から使っているスペースなので、安心感もありますしね!
・建物よりも安心できる ・・・ これは熊本地震の時に聞かれた事なのですが、ご存じのとおり熊本地震は震度7の揺れが2回起き、1回目の揺れで大丈夫だった建物も2回目の揺れには耐えられなかったという事もありました。また避難所もいくつか損壊して使えなくなってしまった。建物への信頼感がかなり低くなってしまったのですね。
とりあえず、自動車は地震でつぶれてしまう事はないので(車の上に木や建物が倒れてきたらダメですが。。)ちょっとした安全地帯になるわけです。
・燃料が残っていればエアコンが使える・・・これは暑い時や寒い時には便利。ただ、エンジンをかけておく必要があるため、貴重な燃料が減ってしまいますし、寝る時にエンジンをかけっぱなしにするのは、かなり危険(特に雪の中では、マフラーが雪で詰まってしまい、一酸化炭素中毒になる事も)ただ、少しの時間でも、エアコンの利いた室内に居られることはかなりのメリットですよね!
さらにシガーソケットが使えるので、車用の電気製品が使えますし、スマホや携帯の充電も出来ます。
・買い出しも楽々 ・・・ 買い出しが出来るようになったら、自動車で買い出しに行くことも可能。
・貴重品の保管場所として・・・沢山の人が集まる避難所はセキュリティも心配。(場所にもよると思いますが。。)自動車はしっかりと施錠出来れば、避難所よりははるかに安心して貴重品を管理する事ができます。
と、ちょっと上げただけでも、車中泊にはかなりのメリットがある事が分かります。
エコノミークラス症候群を防いで、快適な車中泊を行う方法
実は、日常的に、乗用車で車中泊をしている人たちがいます。アウトドアや旅行などで、車を宿替わりにしている人たちですね!
何も準備をしていないと、車中泊はかなり苦しいし、病気になってしまう可能性もありますが、逆を言えば、ちゃんと準備しておけば、安心してすごせる避難所にする事もできるのです!
次回からは、安全に快適に車内で避難生活をおくる方法についてお伝えしていきます!
お楽しみに!
以上、今回は、エコノミークラス症候群と、車中泊の関係についてお伝えしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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